病院長あいさつ

ABOUT

 このページをご覧いただきありがとうございます。

 2024年4月1日より、院長を拝命しました杉谷想一です。県外出身ですが、1984年に新潟に来て、卒後は3年間の研究期間を除きすべて新潟県内の病院に勤務してきました。2017年に当院に赴任し、内科を中心に診療しながら、今年で8回目の春を迎えました。豊かな自然と歴史ある町並、美味しいものがたくさんあるこの地にすっかり魅せられ、村上愛は日々大きくなっています。「鮭、酒、情けの村上」のキャッチコピーの通り人情にあふれる当院は、医療スタッフと患者さんや家族との信頼に支えられながら、心の通った医療が実践できるのが特長だと思っています。

 当院は、広大な村上・岩船地区の医療のため尽力してきた伝統ある病院ですが、2020年12月に移転し、現在は、山北、関川、粟島までアクセスのよくない地域から、雪に苦労しながらも多数が通院してくださっています。少子高齢化に人口減、円安や来るべきインフレなど日本の未来には不安がありますが、医療現場にも問題が山積みです。村上地区は、新潟県でもとくに医師不足で医師の高齢化も深刻です。働き方改革が進むとスタッフ不足や忙しさに拍車がかかるとも言われます。さらにコロナのパンデミックは社会に大きな変化をもたらし、医療現場ではときに40℃の発熱であっても簡単には入院できないこともあり、軽症の患者さんは、受診先を探すだけでも一苦労です。今後は病院ごとの機能分担や医師の集約化などにより、受診ハードルはますます上がるばかりです。

 高齢過疎地域の小規模病院に何ができるのでしょうか?予算や人員には限りがあるので、全員で知恵をしぼるしかありません。当院は、自治体や地域のコミュニティーと連携しながらより質の高いサービスを目指し、学校教育の現場にも情報発信し、未来の人材を求めていきたいと考えています。現在、日中の救急対応に人材を投入することで救急患者さんが少しでも優先的に診療を受けられるように工夫し、問診センターの設置や総合診療科の新設により予約外の患者さんにも可能な限り当日の診察や検査が受けられるように準備しています。スタッフ不足の当院が取り組むには困難な課題ですが、待ち時間や診察に満足していただけていない患者さんやご家族が多いことは十分に理解しておりますので、挑戦をつづけていきます。近隣の診療所不足や開業医の高齢化を考え、かかりつけ機能をより発揮できるよう受診しやすくなる努力もしてまいります。今しばらくお待ちください。

 もちろん当院でも、最新機器や新規薬剤を導入しています。AI問診を導入し自宅のスマホからでも問診を入力したり、タブレットを使って検査や入院の説明をしたりできるようになりました。今後は、AI補助診断機能付きの内視鏡機器の導入も決まっています。しかし人数の不足や忙しさを克服するために最も大切なものは、AIや機器ではあり得ません。人材に尽きると思います。スタッフ全員が病院の宝です。医療レベル向上のための教育を続ける一方で、疲弊して燃え尽きてしまうことが決してないよう、明るく楽しい雰囲気を作っていきます。あらゆるハラスメントが生じないように努力し、困ったときはスタッフ同士で助け合える病院を目指していきますので、みなさまご協力ください。

 これを読んだ医療関係者の方、医学生や研修医だけでなく、あらゆる職種を志す若い皆さん、風光明媚なここ村上で、都会の大病院では味わえない昔ながらのよき人情にふれながら、ワークライフバランスを実現してみませんか?

病院長 杉谷 想一